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一昔前の屈折異常矯正法は眼鏡とコンタクトレンズであったが,近年,屈折矯正手術やオルソケラトロジーが加わり選択の範囲が広くなった。このうち,屈折矯正手術の進歩は著しく,初期の角膜前面放射状切開術は影をひそめて,エキシマレーザーを使用したLASIKが主流になってきている。さらに,この術式はフェムトセカンドレーザーを使用したり,老視手術にも使われたりしている。以前には強度近視の矯正は分厚い眼鏡レンズやコンタクトレンズで矯正されたが,十分に視力を出すことができなかった。しかし,有水晶体眼内レンズで良好な矯正視力を出すことができるようになった。さらに,白内障手術後に挿入する眼内レンズの度数によって,屈折度を自由に決めることが可能になった。このように屈折異常矯正法のオプションが増えてきたことは,屈折異常者への福音である。しかし,その進歩は著しくその詳細を知ることは困難を極める。
本書は8章からなる。第1章は屈折矯正手術の現状を知るためにぜひとも読んでいただきたい章である。第2章は現在使用されている角膜屈折矯正手術の詳細が記載されている。第3章と第4章は眼内レンズによる屈折矯正手術であるが,第3章では強度近視などに行う有水晶体眼内レンズ,第4章は白内障手術後に使用する特殊レンズであるトーリック眼内レンズや多焦点眼内レンズの適応などについて記載されている。第5章は屈折矯正手術後の白内障手術前の眼内レンズの度数の決め方と屈折矯正手術後の眼鏡とコンタクトレンズの処方法の記載があるが,後者は通常の処方と違うので大いに役立つ。第6章は,もう一つの屈折矯正法としてのオルソケラトロジーについてで,この方法は近視進行防止に役立つとの報告もあり注目されている。また,この章では近視進行予防としての眼鏡やコンタクトレンズ処方についても記載されている。第7章では屈折矯正手術と違い,老視の眼鏡やコンタクトレンズによる矯正,また白内障手術後のモノビジョン法の記載がある。第8章では眼鏡・コンタクトレンズ矯正の不満とその解決法があり,この章は日常臨床で困ったときにひもとくとよい。
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