今月の表紙
正常錐体細胞
中西 明子
1
,
後町 清子
1
,
亀谷 修平
1
,
中澤 満
2
1日本医科大学千葉北総病院
2弘前大学
pp.291
発行日 2015年3月15日
Published Date 2015/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410211245
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症例は10歳,男児。原因不明の両視力低下を主訴として前医から紹介された。視力は右(0.8),左(0.6)。眼圧,前眼部所見,眼底所見,SD-OCT,色覚,視野,full-field ERG,VERISにて異常を認めなかった。補償光学(adaptive optics:AO)眼底カメラによる検査で錐体細胞密度,錐体細胞間距離,および錐体細胞モザイクの配列に全く異常を認めなかった。問診でゴルフの大会が近づいていることにストレスを感じている様子があり,総合的に心因性視力障害が疑われた。
写真はAO眼底カメラを使用して撮影した錐体細胞の画像であり,使用した機種はrtx1TM(Imagine eyes,France)である。右下の切り込み画像はCirrusTM HD-OCT(Carl Zeiss,Germany)の眼底観察用のSLO画像である。切り込み画像内の白枠線内はAO眼底カメラ画像で示した領域を表している。若年者であるため,角膜や中間透光体の混濁による収差の影響が少なく,非常に鮮明に錐体モザイク(正常錐体細胞の配列)が撮影できた。黄斑中心部へ向かうにしたがい,錐体細胞密度が大きくなり,錐体細胞間距離が小さくなっているのがわかる。
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