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特集 錐体路系の機能
V.錐体路細胞の機能分化
Differentiation of pyramidal tract cells
大島 知一
1
1東邦大学医学部第1生理
pp.1111-1113
発行日 1965年11月1日
Published Date 1965/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201943
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先端直径0.5μ以下の硝子管に塩類溶液をつめた微小電極を1個の神経細胞内に刺入して,その電気的活動を記録する細胞内導出法が開発されてから10数年たつ。その間研究対象として主役を演じた温血動物の神経細胞はネコの脊髄運動ニューロン(ネウロン)であつた。Sherrington以来の反射学の知識が背景にあつたためと,細胞が大型(直径約70μ)で微小電極の刺入が割合容易だつたからであろう。しかし最近数年間に大脳,小脳,海馬,脳幹など高位中枢の神経細胞に次々と細胞内導出法が適用されるようになり,複雑な細胞構築や機能連結が電気生理学的に明らかにされつつある。錐体路細胞の細胞内導出はすでにPhiliips (1956)1),によつて報告されたが,最近になつて動物の固定法が進歩し呼吸や心拍による脳の機械的な動きをなくす工夫がなされてから,小細胞(直径10ないし50μ)ながら微小電極刺入による損傷がほとんど問題にならないほどに改善された。ここに述べる研究はネコの錐体路細胞が2群に大別されることを示し,運動の最高中枢としての大脳皮質運動野の神経細胞に機能分化があることを示唆するものである。
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