連載 眼の組織・病理アトラス・31
水晶体起因性眼内炎
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.686-687
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210761
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水晶体が損傷されたり,白内障手術で多量の水晶体質が残存した場合には,その眼に炎症反応が生じる。また,水晶体が傷つかなくても,過熟白内障では,水晶体質が水晶体嚢を通して眼内に拡散し,同様に炎症反応が起こる。このように,水晶体質に対する眼内の炎症反応を水晶体起因性眼内炎lens-induced endophthalmitisと呼ぶ。これは,水晶体質を異物とする眼内の異物反応で,いわば水晶体炎phacitisである。
臨床的には,水晶体起因性眼内炎が起こると難治性のぶどう膜炎症状を示し,しばしば緑内障を併発する。残存した水晶体質を除去することによってぶどう膜炎症状や緑内障が軽快する。
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