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連載 眼科図譜・274
Avulsed retinal vesselのYAG laser による根治療法
Nd:YAG laser photodisruption in avulsed retinal vessel syndrome
龍井 哲夫
1
,
大原 國俊
1
,
清水 昊幸
1
Tetsuo Tatsui
1
,
Kunitoshi Ohara
1
,
Hiroyuki Shimizu
1
1自治医科大学眼科
pp.682-683
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210760
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- Abstract 文献概要
緒言 Avulsed retinal vessel syndrome (以下,本症)とは,牽引性網膜裂孔形成の後に,網膜血管(多くは網膜静脈)が硝子体牽引により網膜面から引き離されて硝子体腔に突出した状態を示し,1971年にRobertsonらにより命名された疾患概念である1)。本症の臨床上の問題点は硝子体出血を反復する点であり,当該血管への硝子体牽引の持続が原因と考えられている。従来,硝子体出血の予防を目的として種々の治療法が試みられているが,侵襲が大きく効果が不確実で重大な合併症の危険があり1-5),本症の有効な治療法は確立していない。我々は,YAG laser vitreolysisの手法を用い6,7),本症の1典型例の根治的治療を達成したので報告する。
症例 症例は59歳の女性で1984年1月右眼の飛蚊症を主訴に来院した。既往歴,家族歴に特記すべきことはない。視力は右1.2(n. c.),左1.5(n. c.)。右眼に上耳側の網膜裂孔と硝子体出血があり,裂孔縁に網膜静脈が通過していた(図1)。裂孔原性硝子体出血と診断し,アルゴンレーザーにより網膜裂孔を凝固閉鎖した。外来で経過を観察していたが,硝子体牽引により裂孔縁の静脈がしだいに硝子体腔に引き上げられ,avulsed retinalvesselを形成した。患者はその後,20ヵ月間の期間に二度にわたり本症に起因したと考えられる硝子体出血を発症した。
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