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眼科錦嚢続眼科錦嚢(1)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.1020-1021
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210162
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日本の眼科は和蘭眼科書の反訳,ことに「眼科新書」の訳述刊行(杉田立卿訳述,文化12年刊)を契機に急速な蘭法化が進んだが,さらにその精確なことが認識され,蘭医が次々に渡来するにおよんで,眼科手術等が実地に行われるようになると,各地に蘭法眼科,漢蘭折衷眼科が起こり,日本の眼科の洋法化が拡まっていった.文政から天保年間にかけて漢蘭折衷眼科の説と術とを本格的に公示して著わされたのが本庄普一著の「眼科錦嚢」(4巻)と「続眼科錦嚢」(2巻)である.
「眼科錦嚢」は和漢蘭すなわち日本,中華,和蘭の各書を引證し,萃を抜き衷を折り詳かに薬性を説き,精しく病源を論じ,治療の謬誤を辨破し,方法の禁秘を具載したもので,また,「続眼科錦嚢」は「眼科錦嚢」に漏れた奇病難治の証を具載して其治療法術を考究し,本庄普一門中が工夫,新製して用いた針刀の類一つ一つを図で示し秘蘊を著したものといわれ,この正続眼科錦嚢はいわば眼科治療術を得る最も捷径な眼科書と評価された.
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