連載 眼の組織・病理アトラス・5
毛様体:毛様突起と房水産生
岩崎 雅行
1
,
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.196-197
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209954
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毛様体の主要な機能の一つに,房水産生がある.眼球は,後方にある網膜まで光線を透過させるため,前方はできるだけ透明である必要がある.そのため,角膜および水晶体は血管を欠く.涙液と房水のおもな存在意義は,これらを栄養することである.
毛様体はぶどう膜の一部で,虹彩と脈絡膜の間にはさまれた幅約6mmの環状の領域である.内面は後房,硝子体に面し,外面は強膜に接する.前方約2/5には,毛様突起ciliary processが放射状に配列するため,皺襞部pars plicataまたは毛様体冠とよばれ,その前端から虹彩が突出する.後方約3/5は扁平部pars planaまたは毛様体輪とよぼれ,後方ほど薄くなり,鋸状縁ora serrataで,網膜・脈絡膜に移行する.組織学的には,眼球内面をおおう上皮と強膜側の実質とに分けられる.さらに毛様体上皮は,後房・硝子体に面する無色素上皮と,実質に面する色素上皮の2層の単層立方上皮からなる.色素上皮は,発生学的には眼杯の外板由来であり,前方では虹彩の前上皮層に,後方では網膜色素上皮に連続している.一方,無色素上皮は眼杯内板由来で,虹彩の後上皮層および感覚網膜に連続している.
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