連載 眼の組織・病理アトラス・51
毛様体扁平部血管新生
猪俣 孟
1
,
岩崎 雅行
1
1九州大学
pp.10-11
発行日 1991年1月15日
Published Date 1991/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900482
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硝子体血管新生は,糖尿病性網膜症,網膜中心静脈閉塞症,ベーチェット病など種々の眼内病変に続発しておこり,硝子体出血や牽引性網膜剥離をひきおこす重篤な眼病変の合併症である。もともと血管新生は生体の創傷治癒機構の一つとしておこるもので,それは生体にとっては望ましい組織反応であるが,眼球では硝子体内に血管が新生されることによって眼内組織の透明性が阻害される。すなわち,同じ創傷治癒反応でも眼球内と生体の他の組織とは相反する結果を招来することになる。
硝子体血管新生の好発部位は視神経乳頭と毛様体扁平部である。このうち,とくに毛様体扁平部に血管新生が好発する。その理由は,毛様体扁平部と網膜鋸状縁との移行部に硝子体側と脈絡膜側を連絡する潜在的な通路が存在するためである。
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