文庫の窓から
眼科諸流派の秘伝書(24)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斉藤 仁男
1
1研医会
pp.1522-1523
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209068
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33.高山司慶流眼科書
秘伝書によってはその相伝者を辿ることによってその秘伝書のもとを知ることができる。本書は田原流眼科(須恵の眼科)の秘伝書の一つとして挙げられているものであるが,その巻頭に記された相伝者と思われる名前には九州筑前国末邑高田七兵衛伝授書真田了二,高場順清,田原養伯とあり,そもそもの伝授者は筑前国末邑(現在の福岡県粕屋郡須恵町上須恵)の高田七兵衛と考えられる。そしてそれは真田—高場—田原の順に相伝されたものと思われる。
高田七兵衛の興したといわれる高田流眼科が何時頃創められたか明らかでないが,その流れをくむ並河一敬眼科書に正保3年(1646)のものがある(小川剣三郎)と識されているところから高田流眼科の興りはそれ以前のことと考えられる。また,この高田流から出たといわれる田原流も田原稱吉が眼科を創めたのが寛文年間(1661〜1672)といわれ,幕末文政より天保年間には尾張の馬島流,諏訪の竹内流,江戸の土生流と並んで当時わが国の四大眼科の一つとして世に田原流の名が知られていたといわれる。
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