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眼球は脳の一部が突出してできたもので,まさしく脳の一部である.脳は神経外胚葉から発生し,脳の原基である原始脳胞の前方から,前外側に向かって左右の二つの突出が生じる.この突出を原始眼胞または1次眼胞と呼び,眼球の原基である(図1).胎生4週の頃,原始眼胞の前壁は陥凹して後壁に近づき二重壁から成る杯状の形態をとる(図2).これを2次眼胞または眼杯と呼ぶ.眼杯は前壁の内板と後壁の外板から成る(図3).眼杯は神経外胚葉に由来するので,眼杯の内板と外板はともに上皮性細胞としての形態学的な特徴をもっている.すなわち,細胞の先端部には微絨毛が,基底部には基底板(基底膜)があり,隣接する細胞は接着装置で接合している.このような上皮性細胞としての形態学的な特徴をもつ細胞が互いに接触する場合には,細胞の先端部どうし,または基底部どうしが向い合うような状態で配列する.眼杯の内板と外板は,神経外胚葉の上皮性細胞が細胞の先端部どうしを向き合わせたものである.
内板から視細胞,水平細胞,双極細胞,アマクリン細胞,神経節細胞Müller細胞が分化して神経網膜(感覚網膜)になり,外板は網膜色素上皮細胞層に分化する.網膜の発育が進んでも,視細胞と網膜色素上皮細胞,またはMüller細胞と網膜色素上皮細胞とは,互いに細胞の先端部どうしを向い合わせた状態を保っている.視細胞やMull-ler細胞と,網膜色素上皮細胞との間(網膜下腔)は脳の脳室腔と同じもので,網膜の発生の初期には,網膜下腔と脳室腔は連続していたものである。したがって,網膜剥離はもともと存在していた網膜下腔が再び開いた状態である。網膜の内境界膜はMuller細胞の基底板で,Muller細胞に相対する網膜色素上皮細胞の基底板はBruch膜の第1層である。
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