文庫の窓から
斯弖歇謨索謨眼科書(仮称)
中泉 行信
1
,
中泉 行史
1
,
斎藤 仁男
1
1研医会
pp.1280-1281
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410209898
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この珍本は今からおよそ30年前の1956年4月1日,東京会館において開催された日本眼科学会創立60周年記念行事として行われた日本眼科古書展の際岡山大学の筒井徳光先生から別記のような書面を添えて寄せられたものである.書面の一部を引用させていただき,本書を紹介する.
書面によると『この写本は訳者の名なく,国訳未定稿となっていますが,禁断の書のためワザと書かなかったのかも知れず,岡山の古本屋で手に入つた点から,足守の緒方洪庵か弟子あたりの訳かとも想像されますが確実ならず,漢字も富士川游先生来岡の節,オランダ,ステヘンソン,アムステルダムなど読んでもらったので,岡山の集談会に供覧したことがあり,石田憲吾君に貸して,同君が更に調べ英国のステヘンソン原著のオランダ訳を和訳したものと判りました.写本の最後の章には義眼も出ております.表記に消えかかった木梨貞……とあり,法医学教室で写真もとって貰いましたが,下の一字か二字は確定せず,裏の色鉛筆の楽書に木梨貞次郎とあり,その人が所有者(或は記者?)と思いますが調べても不明でした云々』ということでありますが,本書についての書誌を附け加えますと,扉の部分に,嘱蘭,斯弖歇謨索謨先生著,亜謨私弖児打謨鏤,国訳未定稿と三行(図1)に墨書され,折本装(56折)全一冊(30.8×18.0cm),キララ本,毎半折葉,有界,(鳥絲欄8罫),墨付16行書,毎行字数不定,漢字片仮名混りの精写である.
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