Japanese
English
特集 痛み
前側索切截について
ANTEROLATERAL CORDOTOMY
久留 勝
1
Masaru Kuru
1
1大阪大学医学部第2外科
1Dept. of the 2 nd Surgery, Osaka University Medical School
pp.81-95
発行日 1962年2月1日
Published Date 1962/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201193
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疼痛というのは一つの感覚であつて,主観的なものである。従つて,我が身をつねつて人の痛さを推測することは出来るが,人の体をつねつても自分に痛みを感ずることは出来ない。この事実は痛覚を論ずる場合に常に念頭に置かなければならない。
さて,きわめて原始的な動物から霊長類に至るまで,共通して,本能と直結するひとつの反射がある。それはかつてSherrington39)によつてnociceptive reflexと命名されたもので,身体の表面に加えられた危害に対して現われる一連の反応である。この反応は危害の大きさにより,程度に差異があるが,一般に血圧の上昇,脈搏の増加,呼吸の逼迫,瞳孔の散大等,交感神経系の興奮と共通した現象を伴い,激しい場合には,叫び声や,手足の運動等を随伴する。そしてこれらは私共が激しい疼痛を感ずる場合に,同時に観察せられるところの客観的反応と,同じものということが出来る。
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