- 有料閲覧
- 文献概要
Kiyosawa M et al : Metabolic imaging in hemianopsia using positron emission tomography with 18F-deoxyfluoroglucose. Am J Ophthalmol 101 : 310-319, 1986
最近の画像診断技術の進歩の中でコンピューター断層撮影(CT),核磁気共鳴スキャン(NMR)に加えてポジトロン断層撮影(Positronemission tomography, PET)は脳局所代謝を直接画像的に捉ええるものとして注目されている.現在まで14C-deoxyglucose,また,本報告では18F-deoxyfluoroglucoseを用い,脳のブドウ糖代謝量を測定してきている.その結果視覚領の代謝が視覚刺激で有意に増加することが捉えられ,視覚領が現実に視覚刺激で活動する中枢であることが示されて来ている.また最近では眼球運動の命令を出す中枢の局在さえ本法で示されようとしている.
本報告はほとんど報告のない視路の障害例(半盲例)の脳代謝低下を,8例において明確に示したものである.脳血管障害8例,正常対象者4例を対象として検討した.5例が半盲,3例が不完全半盲で示し,CTでは4例に,NMRでは5例に異常域を捉えた.PETではブドウ糖代謝量は閉瞼による非視覚刺激下では視中枢での左右差はみられなかった.しかしパターンリバーサルチェッカーボード刺激下では,視中枢の非障害半球の代謝は増大し,逆に障害半球側では低下した.前内側後頭葉の代謝量の非対称性は,完全半盲例において22%±12%であった.このように8例全例において後頭葉の代謝の非対称性が示され,それらは視野狭窄によく対応していた.
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.