Japanese
English
臨床講義
農村の老人性眼疾患の種々相
Some eye diseases of old Age in farm village
大石 省三
1
Shozo Oishi
1
1山口医大
1Dept. of Ophth., Yamaguchi Medical College
pp.895-898
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206953
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
本学では年々夏休を利用して,学生諸君と私共とが協同で,県下の比較的医療施設の不備な地区を選んで,夏季調査並びに診療に出かけています。今年(昭和34年7月)は豊浦郡豊田町の西市地区を中心に,1週間に亘つて全部落民の健康診断を行いました。私共の調査方法は町役場を中心とした各部落の協力の下に40歳以上の全地区居住者を対象として,内科では高血圧,糖尿病の調査,病理学教室は寄生虫特に肺吸虫の検索,耳鼻科は老人性難聴,眼科は老人性眼疾患について調査を行いました。
その結果は第1表の如くでありまして,件数で352件,受診者では総数714名中異常のない者390人,残る324人(45%)は少くとも1つ以上の眼疾患を有しているわけで疾病の中,数の上からは高血圧性眼底の201件が最多く,それも明らかにKeith-Wagenerの第Ⅰ型以上の所見を認めたもので内科的にも高血圧と診断されたものであります。従つて,脳卒中が問題になる田舎の老人も時に眼底検査を受ける位の心がまえを持つべきでしよう。次が白内障47件でいずれも老人性白内障と云うわけにはゆきません。中には併発白内障もかなり含まれていて,成熟白内障であるにも拘らず手術を行うことを周囲も本人も拒否しているのもありました。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.