銀海余滴
長崎の日眼総会の印象(2)
桐沢 長徳
pp.20
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206937
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今年の総会ではじめて行われた試みは第2会場の新設である。今まで臨床眼科学会では行われていたが日眼としては始めてであつた。第2会揚が離れた建物でなくて同じ建物の中にあつたことはよかつたが,しいて言えば両者の連絡は必ずしもよいとは言えなかつたようである。また,両方の演題の分け方にも多少難があつたようで,「両方聞きたいのだが……」と迷つて居られた教授方も少くないようであつた。殊に学会記事を書く人には辛いようであつたが,これは手分けをして書くより方法がないことであるから論外としても,出来れば両者の区分を単なる病類別(例えば角膜とか網膜とか)でなく日,臨床的なものと実験的なものというように分けてほしかつたように思う。そうすれば一般会衆は大会揚を主とし,特殊な研究者は小会場で心ゆくまで相互に討論し合う,ということにもなり,両者共によかつたのではないかと思われた。殊に2会場に分けた意味は,時間をセーブするのが目的であるから,単に早く終らせる為というよりは,一般会衆には興味あるテーマを集中し,他方特殊な研究者には相互討論を充分にやらせるという機会を与えるのにもよい方法であるように思う。これを両者共,従来のように討論1回の原則でやつた為に,何か物足りないような気もしたが,とにかく今回の試みはこの方法を今後更に取入れる上に大いに有意義でもあり,参考にもなつたことはいうまでもない。
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