印象記 第68回日本眼科学会総会印象記
1.芸術的な日眼総会—(第1日,第1会場午前の部)
桐沢 長徳
1
1東北大学
pp.781-783
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202980
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(1)会場とその周辺
今年の日本眼科学会総会は国友教授(日大)を会長として,4月16,17,18の3日間,東京上野の文化会館で開催された。桜はすつかり散つてしまつたが,新緑の上野公園は修学旅行の学生やピクニックの男女で一ぱい,折しも会場の隣りの西洋美術館ではルーブル博物館のミロのビーナスの展覧が行われており,学会場そのものも東京一の音楽の殿堂だけに,誠に華やかな総会の雰囲気であつた。コンクリートの素肌をあしらつた壮麗な外壁に包まれた会場の内部は近代建築の粋をこらしただけに,落付いたムードと完壁な音響効果,かけ心地のよい椅子など,申し分のない会場であつた。ただ,夜の部の使用が別に約束されているとかで,正4時に主会場の講演を打切らなければならないという不自由があつたが,そのかわり,小さい第二会場の方は夜まで使用してもよい約束なので,この方は殆んど講演時間の制限もなしにゆつくりと討論が交換された。しかも,室内楽を聞くにもふさわしい扇形の会場であるせいも手伝つて,じつくりと落付いた質疑応答をするには効果満点であつた。
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