銀海余滴
長崎の日眼総会の印象(1)
桐沢 長徳
pp.906
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206955
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今年の長崎での日本眼科学会総会は誠に楽しい学会であつた。学会の目的は勿論講演を聞くことにある筈であるが,長崎のように日本の「はじ」に位し,しかも極めて特色のある都会を訪ねる場合は観光の目的も亦その半分を占めていると言つても決して学会に対する冒涜とはいわれないと思う。日本文化の発祥地であり,南蛮文化とエキゾチズムで知られた長崎,また原爆に見舞われた「戦争の殉教者」としての長崎市を思う時,すべての人の胸に憧れと祈りの気持が湧いて来るのは極めて自然のことであろう。
会場の活水女学院は由緒ある古いミッションスクールで,長崎市中でも最も風光明媚な東山手の「港の見える丘」の上にあり,出入りの船に賑う港の風景が一望の下に見下され,誠に印象的であつた。殊に会期中晴天に恵まれ,西海橋,九十九島,雲仙等の観光も快適に行われたことは誠に幸せで,やはりお蝶夫人の長崎は「ある晴れた日」であることが必要でもあつた。
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