綜説
トラコーマ総合研究班報告
桐沢 長徳
1
1東北大学眼科
pp.699-710
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206639
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文部省科学研究費によるトラコーマ総合研究班の研究成績に関しては昨年度も報告したが,今年度(昭和33年度)の成果は此の度纒めて文部省に報告したので,その概略を茲に記述して各位の御参考に資したいと思う。
まず病原学的方面では藤山班員が昨年に引続きトラコーマ結膜艀化鶏卵漿尿膜接種による結節乳剤を抗原として患者血清との特異的反応(補体結台反応)に成功し,かつ該材料から電顕により,50〜270mμのウイルス様粒子を認めた。川喜田班員はトラコーマに近縁のMausのMeningo-pneumonitis (MP)ウイルスを用いて組織培養(人羊膜FL株)に於けるウイルス増殖形成を研究し,培養上清及び細胞内ウイルス量の定量によつてその発育様式を究め,かつ同時に細胞内封入体の形態学的変化を追求した。荒川班員も氏のトラコーマ固定毒をFL細胞に接種し,同様に細胞の形態的変化を観察した。杉浦班員は人体結膜上皮細胞(Chang株)培養にトラコーマ材料を接種すべく試み,目下研究続行中である。プロワツエク小体に関しては三井班員が電顕による観察を継続研究し,原始体(400〜1000mμ,内部は微細顆粒),基本小体(300mμ,内部に類核あり),Polygon (光学的にplastin様),Minute body(80mμ)の四種を区別し,その発育環について考察している。又同様に浅山班員もプロワツエク小体の核酸について研究を行いつつある。
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