談話室 第62回日本眼科学会総会見聞記
2.学会の在り方
桐沢 長徳
1
1東北大眼科
pp.1054-1056
発行日 1958年7月15日
Published Date 1958/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206414
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学会見聞記といえば今までのものは殆んど「第何席誰々の話はこういう演題で,これに対し誰々が追加をした」式のきまりきつたものが多い。丁度結婚式の紹介のように,型通りの履歴やプログラムを並べてそれを「総ほめ」するのがその例である。これでは少し遅れて学会号を読むのとあまり変りがないので,今度は少し趣きをかえて学会の『流れ』又は『印象』という様な点に重点をおいて書いていただくことになり,その適任者として,最近英国留学から帰朝された中島章助教授(順天大)に白羽の矢が立つた。その結果は上記の対話風の記事となつた次第であるが,その受取り方は読者各位にお委せするとしよう。ただ,編集者としての希望は,日本の学会のあり方を外国のそれに比較してもつと批判的にも書いて欲しかつたのであるが(中島助教授は英国の学会やカイロの学会にも出席された),これは何れ又時を改めて書いていただくこととして,ただ私が平素二三思つていることを同氏の文のあとに附記してみよう。
第1には学会はもつと安くあげるべきことである。評議員会で日眼の総会を引受けるかどうかという話が出ると決つて問題になるのは「私の処は貧乏だから……」という点であるが,これは今後大いに検討すべきことだと思う。学会を地方で引き受ける場合には決つてその地方の開業医,同窓生などに大々的な寄附を仰ぐのが例になつているようであるが,その金は一体何に使われるのであろうか。
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