談話室
欧米旅日記(その3)
萩原 朗
1
1東大
pp.1135-1141
発行日 1957年8月15日
Published Date 1957/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206124
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シカゴのNorth-Western Stationを11時の夜行で発つて,翌朝8時15分MinneapolisのUnion Stationに着きました。9時間と15分間かかつたわけです。此処は麦と湖水に名を得たMinnesota州の首都で,ミシシツピー河を挾んで,その東岸に在るセントポール市と共に,Twin Citiesと呼ばれています。両者の人口合せて80余万というアメリカ合衆国北部の雄都です。大小合せれば,1万もあろうという沢山の湖水を擁する詩の邦というだけでも,旅行好きな私には心鈴の強く振り鳴らされるものがありましたが,米国の6大学の一つに数えられるミネソタ大学や,全米に最大の個人病院としてその名を轟かせているMayo Clinicの所在地でもありますので,たとえ2,3日であつても,この地を踏んで見たいというのが以前からの私の望みでした。緯度から云えば北緯45°位,北海道の北の果にも当ります。暦では4月の8日ですが,街路に白く霜の降り敷いた早朝の寒さは流石に身に浸み渡りました。たまらなくなつて駅の附近のドラツグストアに飛び込み大勢の労働者風の人達に交つて,温い牛乳とスープで暖を取り,元気を取戻して,河向うのミネソタ大学に向いました。この大学の生理学教室には,半年も前から,東大生理学教室の時実利彦氏が勉強して居られたのです。
時実氏に連れられて,ミネソタ大学のキヤンパスや,ミネアパリスの街を見物しました。
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