談話室
欧米旅日記(その2)
萩原 朗
1
1東大
pp.1053-1059
発行日 1957年7月15日
Published Date 1957/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410206107
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
アメリカ合衆国内至る所徴密な交通網を敷くグレーファウンドバスに乗り,フィラデルフィヤの三十丁目駅を後にし,ボルチモアに向つたのは,珍しく朝から雪の降りしきる3月16日の午後でした。
時間表は調べてあつても,乗り遅れては面倒だと思つて,次ぎ次ぎとやつて来るバスの行先を聞き聞き,数台めにやつと目的の車をつかまえることが出来ました。同じくボルチモアに行くにしても,他処の町を遠廻りするのもあるのです。陰鬱な空模様の中を走ること2時間ば主かりで,ボルチモアのバスターミナルに着きました。日はもうとつぷり暮れて了つて居りましたが,雪も止んで居りました。この地に半年程前から留学していた九大生理学教室の中村講師が,前以つてリサーブして置いて下さつたホテルの一室に辿り着いた時は,全くホッとしました。
Copyright © 1957, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.