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I.緒言
眼結核の臨床診断の困難なことは周知の通りであつて,従来概ね推定と消去法に依るの外はない。推定とは全身の結核の有無の判定の結果眼結核とする場合であり,消去法とは他原因となる可き疾患を順次抹殺してその結果眼結核と診断する場合であるが,何れにしても両者共診断の適中率は相当あるとしても断定的なことは中々困難である。最後は組織学的所見或は菌培養に依るの外はないのが現状である。しかし組織学所見と菌培養の点,眼組織の場合その病巣の所在によつては不可能の場合があり,ために結核の確実な臨床診断法が要望される所似である。そこで結核の血清学的診断法を見るに特異的免疫反応と血清の膠質化学的変化を利用した方法がある。前者の一つとして近来Middelbrook Dubos反応として眼科領域にては血清並びに前房水を用いて結核に特異的に反応し眼結核の診断にその価値は重大なりとするものがあるが,一方鹿野氏等は前房水の本反応を以て結核と断定することは早計であると警告している。
次に血清の膠質化学的反応として種々のものがあるが,本学皮膚科教授丸山千里氏のカルボール反応が結核に撰択的に反応することが報告され,結核の診断に劃期的な役割を呈したことは周知のことである。私は眼結核と思われるものに就て,その血清のカルボール反応を実施してみたので報告する次第である。
I applied Maruyama's serum carbol reaction to 63 cases of the ocular disease which had been considered to be tuberculous in the past. 36 cases of them (57%) were positive, and 27 cases were completely negative. Only 4 cases of them had the active focus in the lung.
It is very difficult clinically to diagnose ocular tuberculosis without mistake, therefore we must finally diagnose it by histological views or bacterium culture at present. How-ever, the carbol reaction has a diagnostic value if it shows positive reaction in the low concentration, I think.
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