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〔1〕まえがき
先に三井助教授がWHO国際トラコーマ(以下トと略す)専門委員として渡欧し,次いで1954年3月Nataf氏の来朝を見たが,この度新たに中村教授が同委員としてジユネーブを訪れた結果,WHO国際ト委員会の有力なる委員が,「日本における急性トの研究は不充分である。日本における急性トは細菌又はワイラスの混合感染によるものであろう」という意見を述べたことを知り,私は真に遺憾に堪えない次第である。果してわが国における急性トは,細菌またはワイラスの混合感染によるものであろうか。そしてわが国のトは混合感染なしには急性症状をもつて発病し得ないのであろうか。私は20余年前からの実験観察の一端を報告すると共に,この問題について卑見を述べ,諸賢の御批判を仰ぎたいと思う。
なお本稿においては,一般的にトの発病は急性であるか否かという問題は別として,急性結膜炎の症状をもつて発病する急性トと,細菌の混合感染との関係を検討せんとするものであることを附言しておく。
1) The possibility of the existence of acute trachema without bacterial superinfection were proved by the clinical symptom in the incubation period, the bacteriological studies in the primary stage (by smear test, culture and inoculation of cultured colony on the conjunctiva of the healthy person), the histological studies of the primary stage of inoculated trachoma and the simultaneous inoculation test of trachoma and Koch-Weeks bacillus.
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