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I.まえがき
昭和31年春中村康教授の斡旋で,文部省科学研究費によるトラコーマ(以下トと略す)研究班が組織され,具体的な活動方針がいろいろ決められたが,わが国内におけるト分類法の統一と診断基準の設定が,その最主も重要な課題の1つとしてとりあげられた。そしてこれ等の草案を作る小委員とレて,桐沢,弓削,国友,赤木の諸教授と私が選ばれ,不肖私が委員長としてその連絡係を引き受けることになつた。桐沢,弓削,赤木諸教授は多忙の中を遠路幾度も東京まで足を運び,お互に忌憚のない意見を交換しながら草案を練り続けた。今春ようやくその骨子ができあがつたので,去る6月の東京眼科講習会で桐沢班長が中間報告を行つた(臨床眼科,11巻8号参照)。その後も,岐阜医大における日眼総会の際に開かれた班員諸氏の討議や,通信による班員の意見を参照して更に検討を加え,去る9月8日の小委員会で決定したのが,本誌の巻頭に掲げられたようなものである。
元来ト自身に未解決の問題が少くない上に,その臨床像が極めて雑多である現在,合理的であると同時に実用的であり,しかも普遍性をもつ分類法を定めることは,至難の業といわなければならない。従つてこの新分類法についてもいろいろな意見があると思われるが,今後大方の御協力にょつてその欠点を是正しながら,これを育てあげていくことが最も重要と考える。
The progress of formation of the new classification of trachoma which is a modification of Mac Callan's and WHO's classification standard of trachoma in the trachom-research group subsidized by Scientific Research Fund of the Dept. of Education and author's opinion are stated.
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