Japanese
English
教育講演
糖尿病性網膜症の病態とその治療
Pathogenesis and Treatment of Diabetic Retinopathy
福田 雅俊
1
Masatoshi Fukuda
1
1東京大学医学部分院眼科学教室
1Department of Ophthalmology, Branch Hospital, University of Tokyo
pp.597-608
発行日 1976年5月15日
Published Date 1976/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410205464
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緒言
糖尿病性網膜症(以下網膜症と略す)は,代表的な糖尿病性細小血管症の一つであり,糖尿病性代謝障害に由来する病変である。したがつて糖尿病自体の病理と治療を正しく理解しない限り,網膜症の病理と治療も解明できない。網膜症による失明者の増加に伴い,近年眼科学会でも内科学会(糖尿病学会)でも,網膜症に関する少なからぬ量の研究発表が行なわれてきたが,今少し互いの領域の進歩を理解吸収すれば,より速かな解決と向上のえられる問題も少なくないように思われる。とりわけわれわれが全身病に伴う眼疾患を診療ならびに研究の対象とする場合は,眼科医といえどもその全身的な病態に関する知識を十分に持つことが今後ますます要求されよう。
今回臨床眼科学会を主催される加藤謙教授の新しい企画である教育講演を分担するにあたり,従来多くの内科医と共同の学会や研究会に出席して,著者なりにつかんだ最近の糖尿病学の全貌を,その機会の少ない眼科学会および眼科医会の会員諸氏に紹介することが,もつとも有意義でありかつ教育講演の主旨にも適合したものと考えた。
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