Japanese
English
神経眼科アトラス4
糖尿病性網膜症
Diabetic Retinopathy
福田 雅俊
1
Masatoshi Fukuda
1
1東京大学分院眼科
1Department of Ophthalmology, Branch Hospital, University of Tokyo
pp.875-878
発行日 1971年8月1日
Published Date 1971/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202944
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網膜は大脳皮質に類似した組織で,光刺激を神経の電気生理的な興奮に置きかえこれを中枢へ伝達するという活発な活動と共に,糖代謝も極めて活発に行なわれている組織であるが,糖尿病の本質ともいうべきインスリン作用の欠乏による解糖障害を反映して,糖尿病状態が持続した症例では,網膜に血管系を中心とした各種の病変が出現し,これを糖尿病性網膜症と呼ぶ。
毛細血管瘤Microaneurysmという言葉はあまりにも一般化いているのが,網膜面に出現する境界鮮明な赤色点を臨床的にはこう呼び慣らわしており,網膜症の臨床的初発症状とされている。これと前後して明らかな点状出血が起り,やがて線状又は火焔状に拡大した出血も加わる。前者は網膜の比較的深層の出血であり,後者は表層の出血である。一方輪郭の比較的鮮明な硬性白斑,不鮮明な軟性白斑などもこれに加わるが,前者は血中脂質の積出物や,網膜神経要素の変性,グリアの増殖などと考えられ,後者は高血圧症などに認められる棉花様白斑と同じく,網膜内の部分的梗塞に基く,神経線維層の浮腫性混濁であると考えられている。
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