生涯研修セミナー 糖尿病合併妊娠
糖尿病性網膜症の妊娠・分娩管理
福田 雅俊
1
Masatoshi Fukuda
1
1琉球大学医学部眼科学教室
pp.939-941
発行日 1988年10月10日
Published Date 1988/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207881
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妊娠は年頃の女性にとっては心身共に重大事である。まして糖尿病のある個体にとっては深刻な問題にまで発展しやすい。一つは胎児への影響としての呼吸障害,低血糖,先天奇形などの障害発生であり,他の一つは母体への影響であり,糖尿病性網膜症(以下網膜症と略す)の悪化もその一つとして問題視されている1〜3)。幸いこれらの障害は母体の血糖コントロールの正常化によりかなりの程度まで回避されることが近年明らかとなってきた4)が,それだけに妊娠早期からの注意が一層重要となり,血糖正常化の後にはじめて妊娠させるという計画妊娠が必要とされはじめた。他方,小児糖尿病(主としてインスリン依存型)の管理法が著しく改善・向上したために,これに該当する病型の成人例が増加し,その結婚例も少なからず登場し,一層の血糖管理の適正化が望まれるようになった。
筆者は本項で網膜症の対策,特にその悪化・進行の防止策について述べたいと思う。
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