わたしの意見
眼科医の近代化とは—(その1)
井上 洋一
1
1オリンピア・クリニック
pp.426-427
発行日 1970年3月15日
Published Date 1970/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410204265
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眼科開業医の地位
大量生産時代に入ると,すべてがベルトコンベア式に運ばれてしまい,パーツにばらつきがあり,組み立てた製品に案外故障が多い。これは,祖母にすすめたカラーテレビの工合が悪く,修理に来てくれた業者の話である。例外的に高く評価されている製品にしてこの調子では,他は推して知るべしであろう。私ども眼科開業医もこの10数年,大量生産的に患者を診察してきており,洗眼台を効台並べて患者をさばいていくのが近代的であると考えている人もある。現代の社会のすさまじい流れを見ていると,医者が流されていくのも仕方ないことであろう。開業して間もない頃,私は次のような檄を草した。
「現行の健康保険制度の中には,多くの問題がひしめいている。これを扱う医師の態度にも複雑な影がうかがわれる。これが制度自身のゆがみであるか,医師の意識のゆがみであるかは決められない。しかし制度の欠陥のみを,これでもか,これでもかとあまりに強調しすぎるきらいがあり,読んだ後,聞いた後の味がちつともすつきりしない。むしろ,私ども医局出たての開業医は,制度の欠陥のみにその責任を負わせようとする傾向には反発を感じる。等々……」
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