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I.緒言
特発性網膜剥離と眼圧の問題はすでに古くから色々論議され,且つ興味ある問題である。そして特発性網膜剥離では,眼圧は多くは低下すると教科書6)12)23)24)にも記載され,一般にこの眼圧低下が特発性網膜剥離の臨床的特徴である様に考えられているけれども,網膜剥離の眼圧は必ずしも全例低下するとはかぎらず,正常眼圧か,或は,稀れに,高眼圧を示すことがあることも事実である15)。このうち剥離眼で最も多く見られる眼圧下降の機転に就いても,未だ問題点が多く3),その上,この眼圧下降がいかなる臨床所見と関係があるのか,森寺氏の報告19)が詳しいが明らかでない。
従来,網膜剥離眼眼圧に就いて報告されている成績を見ると,その網膜剥離の種類は比較的よく区別されているが,剥離網膜の復位が第1回の剥離手術で得られたか,再手術によつて得られたものか,たとえ第1回手術で網膜が完全復位しても,その前すでに他医にて剥離手術を受けたことがあるかどうか,又退院時眼圧を多くは術後眼圧として,術前眼圧と比較しているが,その退院時が術後何日目という明確な記載をしているものが少ない。更に,最近,網膜剥離手術も単なるヂアテルミー凝固法の外に,各種の術式が用いられつつある為,かかる剥離手術々式による差異等,全く考慮されていない。
The purpose of the present investigation has been primarily to ascertain the relation-ship between ocular tension and clinical fin-dings of detached eye and, secondarily, to see the long-standing course of ocular tension af-ter successful detachment surgery.
For this purpose, only such cases were se-lected in which complete reattachment of the retina was obtained by the first operation, sho-wed no recidivation or complication following two months after operation, and, except those of reoperation, had never been operated be-fore the hospitalization.
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