談話室
眼科医の将来
桐沢 長徳
1
1東北大学
pp.826-827
発行日 1962年7月15日
Published Date 1962/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202548
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眼科学に志す医学生が最近減少しつつあるということが,眼科の保険点数の低いことと結びつけて論ぜられることが近来多い。このことはわが国に於ては確かに一面の真理であつて,その証拠には,開業して経済的に恵まれる見込があるという科が,その時代の社会的条件によつて変ると,科の志望者が変動するという事実のあることである。たとえば戦後の混乱期にあつては産婦人科がその後,新治療が多くて,しかも保険制度の少なかつた神経科が,というようなことが見られたようである。
しかし,志望科の選択が,単に経済的な条件のみで左右されるということは,われわれ戦前派にとつては誠に情ないことで,学問的興味とか,恩師の人格とか,医学的使命感とかによつて志望科を決めた昔がそぞろ懐かしまれる。
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