Japanese
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綜説
緑内障の研究—縁内障と毛細血管の研究
The Studies about the Glaucoma. The Study about the glaucoma and the Capillaries
呉 基福
Kifuku Go
pp.957-961
発行日 1955年7月15日
Published Date 1955/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202275
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第1編 Congestive glaucomaに於ける上鞏膜毛細血管の形態学的変化
緑内障と毛細血管の関係に就ては此処に改めて強調する迄もなく其の本能的考察に於いて絶対的の重要性を有するものである。余は過去10数年にわたつて毛細血管の研究を続けて来たのであるが種々の予備的操作を加えた後の動物毛細血管の実験が如何に意味なきものであるかを知り,又人生体眼毛細血管の研究が角膜顕微鏡下に於いて比較的自然の状態にあり其の機能を知るのに最良の方法である事を確信したのである。もともと毛細血管の機能を検査する事は非常に困難な事であつて,1例をあげれば同じ藥剤を使用しても実験方法の差異によつて或いは同一条件下の実験に於いても絶対的に同一結果を得るとは限らない。実験に供される動物の温血であるか冷血であるか,又肺臓血管であるか其他の血管条件による実験であるかの相違,使用藥剤の濃度如何によつて極めて複雑且つ多様なる業績が報告されている。こう言つた過去の文献を根拠として毛細血管の機能を引判して緑内障の根本問題を論ずる事は極めて誤謬多きものと言わなければならない。atropine, pilo-carpineの毛細血管に対する作用を拡張とし,或いは牧縮として緑内障の本態を論ずる事はややもすれば其の打立てた学説に対して致命的な打繋となるものである。従つて緑内障の本態を解決する鍵となる毛細血管の機能を引用するに当つては極めで慎重でなければならない。
毛細血管の機能に就ての研究は動物実験が多く人体毛細血管に就ては非常に稀である。
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