綜説
緑内障の研究Aqueous Veinの研究
呉 基福
pp.873-878
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202244
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第1編 Aqueous Veinの構造に就いて
1942年Ascher氏がAqueous Veinを発見した事によつて房水の新陳代謝及びglaucomaの学説に重大なる変革が起つた。此のA.V.は角膜のlimbus近くにあらわれ,上鞏膜静脈に移行して角膜より遠心的に走行する可成り太い静脈で,時には其の房水流が6〜7mmに及ぶ事があり,容易に発見され得るものである。しかるにA.V.は‘empty capillaries"として其の本態は静脈血管叢の不安定な血流分布の一現象であると誤り記載されていた。余は角膜周擁毛細血管を長年にわたつて研究して来たのであるが,此のempty capill-ariesは決して疎遠的な存在ではなく毛細血管系の充血或いは欝血さえなければ,slit1ampを以てすPtばいずれのcaseを問わず必ず100%に極めて容易に発見し得るものである。此のemptycapillariesをAscher氏がAqueous Veinと命名して以来,Ascher,Goldmann,De Vries,Huggert,Thomasson諸氏によつて研究が続けられて来ている。しかし未だに系統的な研究が報告されていない。余もここ数年来,認識を新たにして,A.V.に対する系統的な研究をなし其の成果を得たので茲に其の一部を報告する。
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