臨床実験
高血圧性網膜症の二,三の眼底所見に就いて—病変発生部位と所謂「乳頭浮腫」
加藤 謙
1
Ken KATO
1
1慶大眼科
1Department of Ophthalmology, School of Medicine, KEIO-University
pp.476-480
発行日 1955年3月15日
Published Date 1955/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410202170
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高血圧死の実数が,何れの文明国に於ても第1位を占める傾向が現われ,わが国に於ても結核死亡数を凌駕するに至つて,高血圧性疾患は今や臨床上極めて重要な疾患となつたが,これに伴つて,眼科医が高血圧性眼底所見の精確な判定を要求せられる機会も次第に増加してきたと思う。
本邦に於て,この種眼底所見に関して,植村操氏(1930)1)の基礎的研究がなされて以来,多くの研究者によつて調査検討せられ,その知見は著しく豊富となつた。併しながら,臨床的には,(1)眼底所見の分類と命名,(2)個々の所見の臨床的意義等に関して尚検討の余地があり,又(3)その病理発生に関しても,現在尚不明な点が少くないのである。私は眼科臨床医の1人として,常々高血圧性眼底所見を観察する機会に恵まれ,幾多の疑問をいだくことがあつた。今回は試みにその2,3に就て考察したところを記してみたいと思う。
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