グラフ
高血圧の眼底所見
樋渡 正五
1
1日本医大・眼科
pp.1682-1683
発行日 1966年12月10日
Published Date 1966/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201571
- 有料閲覧
- 文献概要
高血圧を惹起する疾患は,良性悪性高血圧症,動脈硬化性高血圧症,各種の腎糸球体腎炎,妊娠中毒症,子癇および子癇前駆症状,腎疾患としてのアミロイド萎縮腎,鉛中毒による萎縮腎,多発性嚢胞腎,褐色細胞腫や結節性動脈周囲炎,Cushing氏病などがある.
これらの際にみられる眼底所見の病期による分類は大体2つの系統にわけられる.すなわち1つは英米学派を代表するKeith,Wagener and Barkerの分類であり,他はドイツ学派の代表であるThielの分類である.これらはいずれも分類が完壁というわけではなく,したがつてその後,Wagener-Clay-Gipnerの分類や,Scheieの分類,さらにはまたこれらの分類の変法が用いられて今日に至つている.Keith-Wagenerの分類は全身所見および眼底所見を比較的簡単に記載しているにもかかわらず要を得ていて今日ひろく使用されている.Thielの分類はVolhardの赤色および蒼白(白色)高血圧の概念を適用した眼底所見の分類で,赤色と白色高血圧の中間型として移行型高血圧をとつており,Scheieの分類は高血圧性の眼底変化と動脈硬化性所見とを分けて考察することを強調している.Scheieによれば高血圧性の変化は,1度は網膜細動脈の軽度の狭細,2度は動脈の狭細が著明で,所によつては細動脈の口径不同がみられる.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.