Japanese
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臨床実験
伊那地方に於ける虹彩紋理型の研究特に紋理型の遺傳に就て
A Study on the Iris-Figures in the Natives of Ina District (Mainly about the Hereditary the Figures)
山崎 尚忠
1
1日本大学医学部眼科学教室
pp.797-806
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201933
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虹彩は胎生学上,外及び中胚葉に由来し,両者の完全にして平衡なる発育によつて初めて完成される。即ち前者より色素上皮層散大筋及び括約筋等が,後者より瞳孔膜,及び虹彩実質が形成される。従つて虹彩表面に於ける分割輪,窩孔及び皺嚢等の形態解剖学的性状は胎生期に於ける瞳孔膜の発育状態又は退化の時期並びに程度等により,個人的又は人種的に千差万別の様相を呈するものと予想されるにも拘らず,之に関する研究業績は実に微々たるもので,白色人種に関してはHesch,Weininger,Frank,Eskehund,Schwangerle,及びFreerksen,有色人種に就ては僅かに権,早野福島,長村等の報告があるのみである。
又虹彩の色に就ては,岡本,小口,福島及び城大解剖吉野等の報告があるが,何れも予め準備された色紙との比較によるものである。最近教室の邸林淵氏及び膝田氏は日本人の虹彩紋理の分類に関する新らしい便利な方式を発表して種々な成績をあげ,藤田及び小宮両氏は,日本人虹彩の色調に就て研究し,8歳以上のものでは大略5968Aを主波長となす濁褐色である事を見出して居る。又,瞳孔縁より発する瞳孔膜遺残に就ても,邱ならびに藤田氏等は新らしい見解を発表した。
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