銀海餘滴
過剰酸素供給早産児に発生する盲
森島 生
pp.769
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201923
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早産児の生命を救うため用いられる酸素が過剰に供給されると早産児に水晶体後面繊維膜増成(Retrolentalfilroplasia)の根源となり,それが幼児の盲の第一の原因となる。併し,之等の幼児に対する正常視力は生後最初の2週間,孵竈生活を為す間,嚴重に制限した酸素濃度によつて確保されることが出來た。之は酸素欠乏で死せんとしつつある幼児の危険を救う手段の内の注意すべき事柄である。
此は紐育市にあるBellevue病院早産児部でDr.Lan-wan, Dr.Guy, Dr.Jancis氏等の研究の上本年月下旬報告されたものである。幼児としては2〜4磅の早産児で合計研例について約一カ年間に亙り研究されたのである高い濃度の酸素を与えられた36名につき其内8名は治療し得られる両眼盲となり,6名は治療し得られる盲となり,2名は片眼に有用な視力を有していた。残り28名群は呼吸困難が起つた時にのみ酸素供給を行い,此群には一名も眼疾患を起さなかつた。以上の幼児たちは殆んど同じ孵竈で処方も同じくそれにVitamin療法を受け酸素供給のみ前記の通り実施した。
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