Japanese
English
臨床実験
正常眼圧の度数分布と統計的診断基準の作製に就いて
Statistical Treatment of Normal Ocular Tension
本多 英夫
1
,
小島 芳子
1
,
大野 八千代
1
,
山本 純恭
2
1名古屋市立大学眼科教室
2奈良医大眼科
pp.609-614
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201877
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緑内障の診断及び治療のため,又その本態研究のためにも,眼圧の測定は欠くべからざるものである事を我々は多くの実験及び経験から教えられている。然し眼圧は正常眼,緑内障眼の何れに於ても,測定の時刻,年令その他に依つて可成り影響せられ,且つ此等の条件を一定に保つても尚相当の個体差変動が認められる。この様な個体差変動に対しては,何等かの特殊な取扱いがなされるべきであるにも拘わらす,多くの文献に依つては正常眼圧の平均値,或はその限界値を示されているが,その統計的な取扱いに就いて触れているものは極めて少い。尚最近これに類する試みとして,須田氏は多数の正常眼圧を測定し,度数分布を求めたが,その統計的な取扱い或は更にその結論に依る臨床的応用の場合に尚不充分な点があると我々は信ずる。
他方緑内障の診断の目的で眼圧が測定されるがGlaucoma ohne Hodldruckの語が示す如く,又術後低眼圧保ちつゝ機能の低下を続ける慢性緑内障も屡々観察される如く,眼圧の測定が緑内障の診断の総てであるとは云えない。然し緑内障の臨床上の診断に対する眼圧測定の価値は,緑内障が多くの場合に正常なる眼圧を越えた場合を指す点よりすれば,比較的簡単でしかも充分信頼し得るに足ると云う意味に於て,高血圧に対する血圧の測定にも比すべきものだと云える。
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