特集 新しい時代の白内障手術
Ⅱ.満足度の高い眼内レンズ度数決定
度数計算の新しい展開
大谷 伸一郎
1
,
宮田 和典
1
1宮田眼科病院
pp.102-106
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103406
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はじめに
現在の眼内レンズ度数計算の精度は,度数計算式の改良や眼軸長・角膜屈折力の測定機器の進歩により,高い水準へと達している。しかし,頻度は少ないものの依然として度数ずれを経験することがある。とくに症例数が増加しているLASIK(laser in situ keratomileusis),PTK(phototherapeutic keratectomy)など,エキシマレーザー角膜手術後の白内障手術時の眼内レンズ度数計算において,大きな度数ずれをきたすことが知られており,問題視されている1~3)。
その原因として,広く用いられているSRK/T式,Holladay Ⅰ式,Hoffer Q式などの第3世代の度数計算式が,角膜形状を球面と想定し,角膜曲率から前房深度を算出する点が挙げられる4,5)。これにより角膜屈折力の測定誤差,前房深度の予測誤差が生じ,結果として度数ずれを引き起こす。このため現在もなお,従来の方法に代わる新しい手段が模索されているが,その1つの答が光線追跡法を応用した新しい眼内レンズ度数計算法である6,7)。
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