臨床實驗
松毛虫による結節性眼炎の1例並にコーチゾン点眼の效果に就て
土屋 淳之
1
,
田邊 一郞
1
1新潟大学眼科教室
pp.404-407
発行日 1954年3月15日
Published Date 1954/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201813
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結節性眼炎とは毛虫の毛によつて起り,結膜や虹彩に結節を作るもので,顔面に投擲されたり,林間に於て不意に落下する等毛虫が相当な勢を以て眼球に衝突した際に起るものである。虫毛は眼球組織内に入り結核様結節を作り,屡々重篤なる眼内炎症を惹起するもので,而もその経過中その炎症は,軽減再発を繰返すを特徴とするものである。Wagenmann (1890)はこの結節を組織学的に研究して,毛虫によつて起る仮性結核Pseudotu-berculose Entzundung durch Raupen haareと称し,Saemischは結節を生ずるを特有とし結節性眼炎Ophthalmia nodosaと命名した。
本症に就てはGraefe-Saemisch Hb中Wa-genmannの詳細な記載がある、が吾国に於ける報告は未だ多くない。嘗て吾教室からも菅又氏(昭8)が報告したが,私共も最近本症の1例を経験してコーヂソン点眼の下に長期に亘つて経過を観察することが出来たのみならず,この間結膜よりの切除切片に就き前後2回に亘つて組織学的検査もなすことが出来たので,それらの威績に就き簡単に報告する。
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