臨床實驗
松毛虫に因る虫毛性眼炎の2例
濱崎 克己
pp.562-564
発行日 1951年9月15日
Published Date 1951/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200933
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毛虫の毛に因る虫毛性眼炎或は結節性眼炎とは虫體の直接接觸に依り,虫毛が眼組織中に侵入し,屡々異物性の結核樣結節を作り,重篤なる眼内炎症を惹起する傾向があつて,多くは増惡と輕快の反復を以て經過するを特徴とする眼炎であるが,本症はSchoen氏(1861年)の報告を嚆矢とし,次でPagenstecher氏(1883年Raupenhaarophthalmie).Wagenmann氏(1890年Pseu-dotuberculose Entzundung durch Raupenhaare).Saemisch氏(1904年Ophthalmia nodosa)等の報告に依り,虫毛に因る眼炎なる事が確認されて以來,外國に於ては比較的多數の報告を見るも,本邦に於ては比較的尠く,明治40年荻生氏1例)の報告以來,美甘氏(5例)辻本氏(1例)菅又氏(1例)田村氏(2例)窪田氏(1例)等の報告があるのみである。而して美甘氏,田村氏の各1例及び辻本氏の例を除けば他は總べて松毛虫の毛に因る眼炎である。其他Wagenmann氏は毛虫の虫體自身の接觸なく然も虫毛は刺入することなく通常両眼に起る風土病的結膜炎の存在を報告し,鈴木氏は松毛虫の死毛が風に吹かれて眼に入り1眼に起る刺毛性角膜炎の15例を報告した。著者は最近松毛虫の虫體が直接眼に接觸してより起つた本症の2例を観察したので茲に追加報告する。
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