臨床實驗
圓鋸術後の濾過性瘢痕形成に就て
曲直部 正夫
1
1大阪遞信病院
pp.484-488
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201579
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緑内障に對する圓鋸術の要點は房水生理的濾過路の不完全なるを補い新排泄路を完成せしめる事である。而してこの手術が完遂され,その効果が發揮さるには何より先ず圓鋸で穿孔された鞏膜孔が永久に閉鎖されぬ事が必要なるは勿論だが,これのみでは單に鞏膜孔に相賞した丈けの新小室隙が前房に連らなり出來たに過ぎず,この小室隙に溜つた房水の一少部は或は結膜上皮の細胞表面に滲透して出て行くだろうが,これ丈けでは到底完全な新排泄路としての役割を果し得ぬ。從つて茲に常然濾過性瘢痕(F.N.と略す)形成の意義が改めて考究されねばならぬ。
F.N.とは周知の如く鞏膜鋸孔上を被える球結膜面に生じたElliot氏の隆起部(Buckll乃至Kissl)を指すが私の經驗(後記)を申す迄もなく文献上で明らかな如く圓鋸術の治療効果を期するには術後この隆起部が形成される事が第一に緊要な事である。斯界の權威者山本教授が昭和17年京都眼科學會席上圓鋸術と言う題で講演された時圓鋸術の効果は一つにかゝつてF.N.形成如何にある旨強調された事は眞に至言であらう。
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