私の經驗
紫外線による前眼部の生體顯微鏡所見及び家兎眼房水排出の觀察
大橋 孝平
1
1慈大
pp.363-365
発行日 1953年7月15日
Published Date 1953/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201549
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近時細菌學的検査法として紫外線顯微鏡が推賞され,慈大矢崎芳夫教授は獨特の油浸螢光顯微鏡法を發表され結核菌等の検出に高性能を有することが立證されて以來,吾國でも螢光顯微鏡法の應用が各方面に盛んになりつゝある。眼科領域でも最近中村康氏の細菌検査法への應用が記載され,古くは船石氏(昭和14年)が家兎生體染色眼を検査し,布村氏(昭和19年)が眼組織の螢光顕微鏡的觀察を發表されているが,螢光による人眼の生體顕微鏡的検査に就ては多くの業績が見られないで,僅かに畑氏(昭和5年)が瀰慢性角膜表在炎に就て,無赤光線及び紫外線による角膜顕微鏡所見の記載を見るのみである。畑氏はビルヒ,ヒルシュフェルド氏眼照射燈の光源を賞用され紫外線用「フイルター」としてはツアイスの「ウビオール」硝子を用いたが,この「フイルター」は波長500mμ以上を吸收するが,その所見によれば人眼の前眼部は一面に濃黄色に見え,球結膜は明るい菫色,虹彩面は稍々牡丹色を帶びた暗菫色,水晶體は螢光を發して青白色を呈し,角膜表在炎の「フルオレスチン」可染部は無赤光線の場合と同じく,又はそれ以上に強く螢光を發して明るい白色か濃「クリーム」色を呈して明瞭となると云う。更に外國の文献に就ては充分調査することが目下困難であるが,僅かにContino氏(1930)の紫外線による前眼部の螢光所見の記載を見るのみのようである。
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