銀海餘滴
多發性硬化症
pp.376,381
発行日 1953年5月15日
Published Date 1953/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201488
- 有料閲覧
- 文献概要
研究者及醫師を困らしている疾患に多發性硬化症がある。米國内には約10萬名もあると謂われている。本症は主に20〜45歳の若い人々が罹るので其症状は複視,眼球震盪,震顫萎弱,歩行困難,上下肢の麻痺,言語障磯,膀胱障害,感情障碍等がある。時々特發性の輕快があるが後で他の合併症によつて新症状が出現し老人では遂に死の轉歸を取る。
病理的には神輕鞘即ちMyelinが損傷され,此損傷部に繊維性組織が發生し硬化した碎片を作る。此損傷が起つたときには神經刺戟は完全な神經のように充分な力で傳達することが出來ない。其損傷が進行し其程度が一層深くなると遂には總神經刺戟傳導が妨げられる。然し何が神經損傷を起したのか,そしてそれを管制する手段が今科學者で出來ないのである。原因に就ても本症はアレルギー性過敏症や,ホルモン性及榮養性缺陥であるかも知れない。或はVirusや氣候などにも關係ありはしまいかと非常に廣汎な研究をして見たか譯らない。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.