綜説 第3回綜合醫擧賞入選論文
多發硬化症の診斷について
桑島 治三郞
pp.465-483
発行日 1953年9月15日
Published Date 1953/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201577
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ヨーロツパで多發硬化症が初めて醫學的に注目されたのは前世紀のなかば以前のことで,それから現在まですでに一世紀をこえる。この間に,シヤルコーやオツペンハイム以來もつとも不可解な病氣として,それだけにまた最も興味をそゝる課題のひとつとして,各方面から多くの業績が累積され,その結果,今日では本症が世界の到る所に最もありふれた器質的中枢神經疾患のひとつであることが明らかにされてきた1)。
一方,わが國では昔から本症の存在すら否定するような風潮が強く,今日なおその臨牀診斷たどに對しても必要以上の遲疑や,根據のない逡巡などが示される。
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