特集 第6回日本臨床眼科学会講演集(普通講演)
(33)上斜筋腱鞘内腱切除ついて
中川 順一
1
1市立札幌病院
pp.141-143
発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201424
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上斜筋過動症に對して同筋腱鞘内腱切除を行つた經驗を述べ,斜視矯正は正中位のみならず近業と關係の深い下方視の全矯正の重要性を強調した。
上斜筋過動症。周知の如く眼球の下轉は下直,上斜直筋によつて營まれる。外轉位にあつては主に下直筋,内轉位に於ては主に上斜筋が作用する。例えば第2圖の如く右上斜筋過動では左下方視に於て眼球は強く下轉する。正中位の眼位は通常圖の如く僅か下斜するが場合によつては却つて上轉することがある(症例1),(5))。正中位眼位は垂直作用筋の靜的筋緊張の均衡によつて定まるもので,過動の程度を示すものでない。過動は協力筋即ち反對側の下直筋との比較的筋力の差に因るものである。それを知るために私は最大作用方向に於ける垂直偏位(最大偏位)を求めた。實用上内轉約40°下轉40°の方向より測つた。測定には固視の良好の場合はprism-cover testが正確であるが簡便なのは角膜反射により目測する方法(Hi-rschberg氏法)である。
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