特集 第6回日本臨床眼科学会講演集(普通講演)
(21) Minimum perceptibleとしてのAligning powerの研究(其の1)(抄録)—分離能の概念に就いて
澤田 孝明
1
1奈良醫大
pp.118
発行日 1953年2月15日
Published Date 1953/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201417
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一般に云はれる視力が網膜に於ける光感受裝置のモザイクに規定されると假定した場合,其の最小單位はConeとConeの間の絶縁體としての神經鞘の厚さが問題になるが,この神經鞘の厚さは1/3〜1/4μで視角8"〜4"〜2.5"に相當すると云われる。この最小單位は線の喰違いを認識する能力,所謂Aligning powerの限界に一致する。そこでこの限界に於ける機能を明確にする爲に,5米の距離に視標を置いた場合,100μの長さが丁度視角4"に相當する事から,巾1.5mm.長さ35mmの黑線に1.0mm〜1.6mm迄,0.1mm刻みにした7種の視標を作り,2秒間露出して視標の切れているか,いないかを答えさせ,其の確率を求めた處,適中率は切れ目の巾が増すと共に上昇して,遂に100%の適中率をみた。
此の結果は,視力は解剖上の要素によつて定まるものではなくて,切れ目の巾は刺戟強度として働き,感覺とは,それに對應する反應である事を示すものに他ならない。
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