臨床實驗
硝子體境界膜の組織學的構成に就て
弓削 經一
1
1京府大眼科
pp.300-304
発行日 1953年7月15日
Published Date 1953/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201529
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網膜内境界膜は恐らくはHortega氏細胞に屬する細胞と其原形質突起より成るうすい膜であつてMargo limitans interna の上に乗り,内境界膜細胞は時にMargo limitans int.内に入り込んで兩者の連絡がなされる。但し此連絡はあまり強固でないらしい。乳頭面ではMargo limitans int.はなく,内境界膜のみであつて,後の層との明かな境はない.乳頭縁では乳頭前面内境界膜の層はうすくなり網膜面内境界膜に移る。
毛様體の扁平部では綱膜内境界膜に相當する毛樣體内境界膜の存在を認めることが出來る。之も亦細胞をもつ。細胞は上皮細胞間にあるもの,上皮面にあるもの又,上皮面から離れて存在するものもある。かかる細胞から出た線維は,大部分硝子體線維を構成し,其一部は硝子體前境界膜或はZonula線維を形成すると考えられる。
之等一連の膜は,網膜毛様匿の内面を掩い,同時に,硝子體の境界膜をなしている。後部硝子體剥離と見なされている硝子體内膜樣浮游物は,實は網膜内境界膜の剥離と老えられる。剥離に關係する内境界膜はHortega氏細胞の増殖攣性したものである。内境膜細胞の攣性,増殖は牛眼,緑内障,葡萄腫に見られたが尚色素性網膜炎にも見られた。攣性現象としては,空胞化,貪食像があげられる。貪食物の中ではつきりしているのは色素顆粒である。
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