臨床實驗
硝子體液の循環に關する實驗的研究—第1報 健康家兎眼に於ける硝子体液の循環に就て
田上 正康
1
1熊本医大眼科教室
pp.476-481
発行日 1950年11月15日
Published Date 1950/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410200715
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第1章 緒論
硝子体液の循環に関しては,古來よりこの液流と緑内障,鬱血乳頭の本態及び眼鉄銹症の研究と密接な関係があるため,それらの実驗の一過程として漸次発達した.毛樣体から産出された硝子体液の流出路に関しては,古來より多数の研究の結果,前後の二流が考えられている.而して,此の中後流出路が重要な役目を果しており,それは硝子体中心腔及び網膜表面に沿い後進し,乳頭前面に集合してここから更に視神経中心血管周囲淋巴腔に進入し,眼球外に流出するのである.前流出路とは,チン氏帶を経て後房に入り,更に前房に進む道である.この前流出路は生理的に存在するかどうか疑問の所であるが,多くの人々は信じている.斯の樣に健康眼の硝子体液循環は研究されているが,種々な状態,例えば実驗的緑内障眼,減圧手術施行眼等に就ては如何に変化するか殆んど知られていないのである.そこで私はこれに興味を持ち本実驗を企てたのであるが,先ず第一に,古來より種々論議されている健康眼に於ける硝子体液循環に就て追究して見たので,此処に成果を報告する.
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