原著
Rh抗原及び抗體の物理化學的性状に就て—Rh因子に關する研究(第3報)
新村 進
1
1熊本大學醫學部産科婦人科學教室
pp.223-226
発行日 1950年6月10日
Published Date 1950/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200352
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緒言
所謂原因不明の流・早・死産,胎兒赤芽細胞症,同型間輸血時の不適合等の發生に關しては,古來幾多の學説が唱えられたが1940年LandsteinerとWienerがRh因子を發見するやこれらの疾患及び事故の多くは本因子間の不適合によることが明かにされ,以來各民族に就て本血液型の分布や,赤芽細胞症,流早死産と本因子との關係を取扱つた文献は夥しい數に逹し,本因子の研究は異常な發達を遂げている.余も亦既に熊本地方に於ける本因子の分布や,抗血製作製法に就て發表した.目下日本では海外よりの抗血清の入手が難しく,又免疫原としてのアカゲ猿も極めて少ないために,抗血清を作るのも容易でないのでRh研究には極めて不便を感じており,殊に赤芽細胞症が發生しても充分對策すら立て得ない.從つて又入手し得た外國製抗血清の最良め使用法や又免疫して作つた抗Rh血清の保存による影響や,更に胎兒赤芽細胞症の治療對策上からもRh因子(抗原)の血清化學的性状を知ることは極めて大切なことと考え,Rh抗原竝びに抗血清に就て是等の點を檢討したので簡單に報告する.
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