特集 眼科臨床の進歩Ⅰ
眼精疲勞の特種型
萩原 朗
1
1東大眼科
pp.895-897
発行日 1952年11月15日
Published Date 1952/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201320
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眼科學の教科書を見ると,「眼精疲労には症候性眼精疲労,調節性眼精疲労,筋性眼精疲労及び神經性眼精疲労の4つがある。」と書いてあるのをよく見る。若し之が,眼精疲労は之等4種のものに分類せられるので,他のものは考えられないという意味で書かれてあるならば間違いである。只,「この4種のものが分つて居る。」の程度に解しなくてはならない。現にアニサイコニアに因る眼精疲労が,近年大いに喧傳せられて居る位である。
又眼精疲労の分類も,も一度吟味して見る必要がある。眼精疲労が科學的の検索を初めてなされたのは,前世紀の中頃過ぎ,v.Graefeが内直筋作用不全に因る輻輳機能の缺陥が,眼痛,流涙,頭重感,頭痛等の症状を起すべきことを示唆し,Dondersが之等の症状の原因が,又眼の光學的の缺陥殊に調節作用の異常に潜むことを發見,合理的な治療法を施す必要のあることを強調した頃であると考えてよい。爾來,獨英米の學者によつて,屈折状態,調節,輻輳,眼位等の研究が旺んに行われるに連れて,それらの病理學的半面である眼精疲労が必然的に取上げられ,歩調を合せて検索を受けて來たのである。
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